校長です。
この制度の目的は求職者を就職させることにあります。
厚生労働省やハローワークのホームページや資料には、
訓練によってスキルアップや資格取得をして就職するということが書かれていますが、
就職後に力を発揮するということの記載がないような気がします。
本来は「仕事ができる人」を養成して、
そういう人だから就職できるわけで、
「仕事ができる」アピールと第三者が証明した資格を武器に就職することであるべきです。
企業は、採用にあたってパソコンスキルの試験を行うところは少なく、
資格欄を見てスキルを把握していますが、
資格を持っていたら仕事ができるわけではありません。
パソコンの操作手順を知っていれば資格は取れますが、
(操作手順を)知っているだけではよい仕事はできません。
ソフトのどんな機能を使うかを自分で考えて使う力、場合によっては知らなくても調べて使う力が重要です。
私(湯沢校長)が職業訓練の仕事を初めて20年近くになります。
この間、毎年のように職業訓練を受講したりパソコン教室で勉強した方が、
「就職はしたけど仕事ができなくて困っている。有料のコースで良いから勉強し直したい」と言ってこられます。
10万円から20万円のコースに入るのです。
なぜこんなことが起こるのか、
私は受講生がちゃんと勉強しなかったからだと考えていました。
ところが昨年、勉強し直している何人もの方にお聞きしたところ、
「基礎だけ勉強して後はひたすら受験勉強でした」と答えました。
これは資格取得と就職を目指していることの弊害ではないかと考えます。
この制度は訓練施設に対して、
就職率が高ければもらえる運営費が多くなる、就職率が低ければ認定されないため仕事がなくなる、
というアメとムチで就職率を上げようとしています。
また、公共職業訓練では資格取得の結果を調査しますし、委託先の選定で就職率と資格取得者数を重視しています。
そのために訓練施設は資格取得と就職率に必死になるあまり、
就職後についての考えが疎かになるのではないでしょうか。
ところで、飯田ビジネス学院と宮田ビジネス学院はどうかというと、
仕事ができる人材を養成することを第一の目標としています。
それは元々平成13年2月に商工会が商工会事業として学院事業をスタートしたことにルールがあるからです。
商工会は地域経済団体ですから企業の皆さんが作っている団体です。
「仕事ができる優秀な人材を養成して地元の企業で仕事をしていただき、
企業と地域経済を活性化する」という目標を持って学院事業をスタートしたのであり、
両学院の校長を務める湯沢健二が、
商工会経営指導員時代に企画提案し学院を作り企画運営と講師を務め、
令和2年10月に商工会が本事業から撤退した後も当初の目的を引き継いで実施しているからです。
他の訓練と具体的に何が違うのかはここでは詳しくは申し上げられませんが、
例えばテキスト、
操作を教えるテキストではなく仕事での使い方を教える実践的なテキストだということ、
あるいは講師、
パソコン操作を教えるインストラクターではなく、仕事を教える講師であり、仕事の面で実績のある講師を揃えているのです。
職業訓練はなんでも同じではありません。
転職は人生の一大事です。
特に雇用保険の給付額が増えるなどの目先のお金で人生を決めてはいけません。
訓練内容や教え方などをよく吟味して訓練を選んでください。